価値観の違う夫婦が、
お金のことで初めて、
本気でぶつかった話をしようと思う。
私は調べて、納得して、
生命保険を解約することに決めた。
ひとりで全部決めたわけじゃない。
夫にも、ちゃんと伝えた。
……つもりだった。
納得してもらえるように、
信頼できると思ったWebサイトリンクを
夫のスマホに送った。
「読んでね」という意味で。
当然、
読むと思っていた。
でも——
解約の手続きが終わった頃。
夫がぽつりと言った。
「個人年金も、解約したの?」
え⁉
私は固まった。
お宝個人年金は、
絶対に解約しない。
それが、大前提だった。
バブル期に加入した、
予定利率の高い個人年金。
今では、もう手に入らない高条件。
手放すなんて、
考えたこともなかった。
でも夫は、
生命保険を解約=全部解約
だと思っていた。
送ったリンクは、
読まれていなかった。
そこから、
珍しく言い合いになった。
私にしてみれば、
「なんで読まないの」という話だった。
夫にしてみれば、
「大事なことなら、ちゃんと説明してよ」
という話だったのだと思う。
どちらが正しいとか、
そういう話じゃなかった。
伝えた、は私の話。
伝わっていなかった、は夫の話。
ふたりの受け取り方は、
同じではなかった。
夫は、
お金に無頓着な人だった。
あればあるだけ使う人。
娘と同じ感覚だと、
あのときの一言でわかった。
でも——
私の決めたことに、
よほどのことがない限り反対しない人でもあった。
お小遣いは月1万円から始めて、
節目ごとに少しずつ増やしてきた。
文句を言わず、
その範囲でやりくりしてくれていた。
タバコも吸わない。
服や髪型にも、強いこだわりはない。
ふたりで楽しむことは、
家計から出せばいい。
だから、
余分なお金もかからなかった。
そういう人だったから、
一馬力設計の家計が
何十年も回り続けてきたのだと思う。
喧嘩のあと、
私は少し反省した。
リンクを送っただけでは、
伝えたことにはならなかった。
大事なことほど、
顔を見て、言葉で伝える必要があった。
そして夫も、
ちゃんと話せばわかってくれる人だった。
お宝個人年金は、
今も手元にある。
価値観が違っても、
二人三脚はできる。
ただ——
歩幅を合わせるには
言葉がいる。
リンクじゃなくて、
言葉が。
振り返ってみると、
娘へのお金の教育も、
夫への保険の話も、
根っこは同じだった気がする。
「わかってくれるだろう」
「言わなくてもわかる」
そう思っていたから、
伝えなかった。
でも——
人は、
言わなければわからない。
それを私は、
ずいぶん遅れて、やっと学んだ。
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