30代前半、
それまでの保険を全部手放した。
きっかけは、
はじめて直面した入院と手術。
10年かけてきた保険が、
いざというときに使えなかった。
笑えない現実だった。
コツコツ貯めることが、
当たり前の習慣になっていた頃。
結婚して、
一馬力設計で家計を回し、
それなりに貯蓄も
積み上がってきていた。
そんな30歳の春。
健康診断で、
思いもよらない結果が出た。
「今年から乳がん・子宮がん検診も受けられますよ」
ちょうど対象年齢だった私は、
軽い気持ちで答えた。
「じゃあ、受けます」
結果は、要再検査。
青天の霹靂だった。
自覚症状は、何もない。
紹介された病院で検査を受けると、
「卵巣嚢腫です」と言われた。
信じられなかった。
だって、
何の異変も感じていなかったから。
納得がいかず、
もっと大きな病院で、もう一度。
セカンドオピニオン。
同じ検査を、
一から全部やり直した。
何日も有給休暇を使った。
正直、うんざりだった。
でも、診断は同じだった。
観念して、
手術を受けることに決めた。
そこで気づいた、
ひとつの事実。
先生の都合で決まった手術日は、
10年かけてきた保険が
満期を迎えた——
その後だった。
わがままは言えない。
決まった日に、
手術を受けた。
でも、そのとき
ふと思った。
何のための保険だったんだろう。
10年間、毎月払い続けた。
気づけば、満期を迎えていた。
いざというとき、
保険は使えなかった。
その疑問が、
頭から離れなかった。
生命保険って、
本当に必要なの?
私は調べ始めた。
本を読んだ。
信頼できると思ったサイトを読んだ。
自分なりに、考えた。
調べていくうちに、
わかってきた。
「解約した方がいい保険」と
「残した方がいい保険」があること。
そして、
私たちが入っていた保険の中に、
絶対に手放してはいけないものが
あることも。
バブル期に加入していた、
個人年金保険。
予定利率が高く、
今ではもう手に入らない条件だった。
これだけは、残す。
迷いはなかった。
夫は以前、
保険の仕事をしていた時期がある。
だから、私がこれを残すことは
言わなくても
わかっていると思っていた。
納得したうえで、
終身保険はすべて解約した。
解約すると、
いくらか差し引かれて戻ってきた。
満額ではなかった。
でも、後悔はなかった。
減った分は、
授業料だと思うことにした。
過去の自分が
「知らなかったこと」に対して払ったもの。
少し減ったからといって、
今の生活が崩れるわけじゃない。
そして戻ってきたお金は、
全部、なかったものとして貯金した。
いつもと同じやり方で。
手元に戻ってきたお金も、
口座に入れたら、もう“ないもの”。
そこから変わった。
毎月払っていた保険料が、
そのまま貯金になっていく。
お金が貯まるスピードが、
目に見えて速くなった。
そして、
貯蓄が積み上がるにつれて、
少しずつ、
気持ちにも変化が出てきた。
多少の入院や手術なら、
貯金で払える。
そう思えるようになった。
当時は、
「生活防衛資金」なんて言葉は知らなかった。
ただ、
お守りのようなものだと思っていた。
お金があると、
人は少しやさしくなれる。
保険に守られる安心ではなく、
自分で積み上げた安心。
それが、
私には合っていた。
ただ——
この決断は、
思わぬところで 波紋を呼んだ。
解約の手続きが終わった頃。
夫がぽつりと言った。
「お宝の年金も、解約したの?」
え⁉
私は固まった。
続きは次回で。
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