
定年について考えるようになった理由
「定年なんて、まだまだ先のこと」
そう思っていた時期も、たしかにありました。
精神年齢って、ある時から止まるんですよね。
心はいつまでも二十歳のまま──なんて比喩もありますが、あながち嘘ではない気がしています。
私が50代になった時も、
仕事に追われる日々を淡々と繰り返しているだけで、
大きな不幸が起こるわけでも、幸運が舞い込むわけでもなくて。
気持ちの上では、30代や40代を通過した時と何も変わっていませんでした。
感覚的には、30代後半あたりで止まっているように思います。
そんな私が「定年」について考えるようになったのは、
正直なところ、あまり歓迎したくない出来事がきっかけでした。
それは──パワハラ上司との出会いです。
この人物との関わりの中で、
私は「こころが病む」ということの恐ろしさを、身をもって知りました。
それまで、自分の中に「辞める」という選択肢なんて一度もなかったんです。
入社してから20年以上、どんなに忙しくても、くじけそうになっても、
「辞めたい」と思ったことがないのが、ちょっとした誇りでもありました。
今思えば、それだけ職場に恵まれていたのだと思います。
でも──
50代に入り、この一件で心がじわじわと削られていく中で、
はじめて「このままでいいのか?」という問いが頭をよぎりました。
転職、退職、そして「定年」──
これまで他人ごとだった言葉が、急にリアルなものとして浮かび上がってきたのです。
こうして私は、ようやく「定年」について、
自分ごととして考え始めるようになりました。

辞めたくても辞められない現実
一度「辞めたい」と思いはじめると、
その思考は、ぐるぐると頭の中をめぐります。
気づけば、仕事を辞めることについて考える時間が
少しずつ、でも確実に増えていきました。
でも、考えれば考えるほど──
50代を過ぎた今、転職や退職を選ぶということが
現実的にどれほど厳しいことなのか、見えてきたのです。
給与面、労働条件、通勤環境。
どれをとっても、今より良くなる未来は描けず
正直、愕然としました。
「定年まであと10年をきった今、
ここで辞めるって、どういうことなんだろう?」
そう思って、少し現実的なシミュレーションをしてみました。
- 定年まで働いていたら得られたはずの収入〇千万円が消える
- 退職金は大きく目減りする
- 年金受給までの間、貯金を切り崩して生活…!?
- 辞めても社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金)は払い続ける必要がある
- 夫婦で旅行三昧の老後なんて、夢のまた夢になるかも…
そして気づけば、不安だけじゃなく
疑問も次々と湧いてきました。
- 年金って65歳より前にもらうことはできないの?
- 60歳を過ぎて無職になったら、税金や保険料はどうなるの?
- 共働きだった我が家、定年後の健康保険料って…どれくらいかかるの?
そして、もうひとつふとよぎったのが、
**「辞めたあと、私は何をして生きていくんだろう?」**という素朴な問い。
定年後の生き甲斐って、私にあるんだろうか。
仕事を辞めたら──
あまり得意じゃない家事、とくに料理が、
毎日の“仕事”になるかもしれない…と想像して、思わずため息が出ました。
不安も、疑問も、モヤモヤも。
どれだけ考えてもスッキリする答えは出てきませんでした。
たどり着いたのは、
自分にかける言葉がたったひとつしかなかったということ。
「我慢して、定年まで勤めあげなさい」
そう言い聞かせるしか、私にはできなかったのです。
人生を変える小さなステップ①

「楽」を探そう!
定年と向き合った私に突きつけられた現実。
それは…**「現状維持しか選べない」**ということでした。
一旦はその現実を受け入れるしかなかったのですが、
このまま何も変えずに日々を過ごしていくなんて──
正直、メンタルが持ちそうにありませんでした。
そこで思考を切り替えてみることにしました。
辞めたいと思うこの負の感情、
「嫌」を今すぐゼロにするのは難しい。
でも、「楽」を少しずつ増やしていくことなら、できるかも!
そんなふうに考えたのが、
私にとっての「小さなステップ①」でした。
「どうやったら“楽”が増えるだろう?」
この問いかけが、
自分の中の“嫌”を“楽”に置き換えるための
第一歩になったのです。
自分にとっての「楽」とは何だろう?
何をしているときに気持ちがゆるむ?
そんなことを考えるだけで、
ちょっと心が軽くなってきました。
どうやら私は、
「楽しい」を想像する時間そのものが、
すでに“楽しい”と思えるタイプのようです。
まだ何も行動していないのに、
「楽しい未来を考えること」が
自分の支えになっていることに気づきました。
自分を変えるきっかけって、
案外こんな小さな思考の転換だったりするのかもしれません。
それに気づいたのが50代だなんて、
ちょっと遅かったかな?とも思いましたが──
でも、気づいた“今日”が人生で一番若い日。
だったら、過去を振り返って悔やむよりも、
今日からの一歩を大事にしていけばいい。
思いついた「楽」を、ひとつずつ形にしていく。
その足跡を残しながら、
どこかで同じような気持ちを抱えている誰かと
つながることができたら嬉しい。
そんな未来を夢みつつ、
これからも、このブログを更新していこうと思います。
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