【京都】初夏の風物詩「青もみじ」を見に行こう -南禅寺-

ひとり旅

その時の気分で行き先を決める

旅程表を作った時に設けた「縛り」
いよいよ、それを実行に移す時がやってきました。

これまでは、旅の予定を事前にすべて決めていた私。
でも今回は、ちょっと違います。

「行き当たりばったり旅」の始まりに、
思わずわくわくしてしまいます。

  1. 必ず行く目的地を1つ決める
  2. それ以外はその時の気分で決める

小雨にはなってきたものの、
雨はまだ完全には止んでおらず、

必ず行くと決めていた「下鴨神社」は明日に見送って、
14時を過ぎた今からでも拝観できる神社仏閣を探すことにしました。

京都の神社仏閣は、17時前後に閉門するところが多いため、
30分以内に到着できるところが理想でした。

拠点は「ハートンホテル京都」
最寄駅の烏丸御池(からすまおいけ)は、
地下鉄「烏丸線」と「東西線」の2路線が利用可能でした。

地下鉄で30分以内に行ける場所を検索してみたところ、
意外と選択肢がたくさん出てきました。

  • 二条城   約14分
  • 京都御所  約19分
  • 平安神宮  約20分
  • 八坂神社  約24分
  • 南禅寺   約25分

この中で、私がいちばん心惹かれたのは——
南禅寺でした。

主人と結婚して間もない頃、もう30年ほど前でしょうか。
ふと、その時に一緒に訪れた記憶が頭に浮かびました。

その時は、閉門ギリギリに着いてしまって、
水路閣のまわりを少し歩いただけで時間切れ。
後ろ髪を引かれる思いで帰ったのを覚えています。

そんな思い出がふいに浮かんできて、
目的地は自然と南禅寺に決まりました。

ホテルから南禅寺を目指す

南禅寺——きみに決めた!

どこかのアニメみたいですが、
心の中で、そう叫んでいました。

さっそく、ホテルから南禅寺までのルートを検索。

最寄駅は、地下鉄東西線の蹴上(けあげ)駅。
烏丸御池駅→蹴上駅 運賃220円 約7分乗車

地下鉄乗り場までは、本当にすぐそこ。
この小さな幸運をかみしめながら、
南禅寺を目指します。

ねじりまんぽから、南禅寺へ

蹴上駅を出て
ゆるやかな下り坂を歩いていくと、
突如あらわれたのはトンネル。

その脇には
「ねじりまんぽ」と書かれた立て看板。

読んでみると、
このトンネルは明治21年に完成したもので、
長さは約18メートル。

「まんぽ」とは
トンネルを意味する古い言葉なんだそうです。

気になります。
めちゃめちゃ気になります。

気の向くままに、くぐってみることに。

あとで知ったのですが、
このトンネル、なんと南禅寺への近道でした!

古い煉瓦づくりの趣あるトンネルを抜けると、
石垣と白壁の塀に挟まれた細長い道が続いています。

道の両側には
「お屋敷」と呼ぶのがぴったりな、
歴史ある建物が並んでいて
塀の奥には広い庭園がのぞいて見えました。

立派な門の前には、
重要文化財の看板も。

まさに、イメージしていた京都の風景。

この細い道の左右だけで
何か所も立ち止まりたくなる場所がありましたが、
時間がないので先を急ぎます。

道の突き当たりに、南禅寺の広い駐車場。
ちゃんと正しい方向に進んでた!と、ひと安心。

さらに歩くと、
遠くに見えたのは——
立派な門。

いよいよ南禅寺です。

南禅寺 三門「絶景かな、絶景かな」

「絶景かな、絶景かな」

石川五右衛門が南禅寺三門からの景色を見て発したという有名な台詞。

正直それくらいの、ふわっとした知識しかなかったのですが──
一度見てみたかったので、三門らしい建造物を目指しました。

きれいに敷き詰められた石畳の先に階段。
その先に立っていたのが、あの立派な門。
そう、南禅寺三門です。

三門の前に私が気になったのが、階段手前に置かれた巨大な灯籠。

実は昔、石材加工に関わる仕事をしていた時期があり、
墓石や灯籠を見ると自然と興味を惹かれます。

重機のない時代に
どうやってこんな大きな石を正確に積み上げたのか──
昔の人って、ほんとうにすごい。
そんな風に、先人の技に感心せずにはいられません。

いよいよ、憧れの三門です!

大きい!そして、石の上にあんな巨大な建物が載っているなんて!

ここでも、やっぱり思うのです。
昔の人ってすごいなあ、と。

そして今回、
ひとり旅だからこそ気づけたことがありました。

誰かと一緒だと、つい気を使って
「そろそろ行こうか」なんて言ってしまう。
もちろん、それもそれで楽しい時間なんだけど──

ひとりなら、誰にも気を使わず
自分のペースで、好きなだけ、
じっくり景色を眺めていられるんです。

そんな「ひとりならではの楽しみ方」に出会えたことが、
なんだか嬉しくて。
ひとり旅も、いいものだなぁって思いました。

三門をくぐった先には、見事な青もみじが。

雨に洗われて、より深い緑が目にしみます。
雨粒をまとう葉が、まるで星のようにきらきら光って、瞳に飛び込んできます。

そして、いよいよ──
先ほど下から見上げた三門に、登ります。

今度は上から、緑を見下ろす。

雨に洗われた緑は、本当に美しくて。
あんなに恨めしかった雨に、感謝している自分がいました。

【南禅寺 三門 拝観情報】

[拝観時間]
3/1~11/30:AM8:40~PM5:00
12/1~2/28:AM8:40~PM4:30
※受付は閉門20分前まで

[拝観料]
一  般:600円
高 校 生 :500円
小中学生:400円

お金を払い、靴を脱いで階段を登ります。

脱いだ靴は袋に入れて持ち歩くのですが、
再利用できる袋が置いてあるのを、今回初めて見ました。
ちょっとしたことだけど、なんだか感心してしまって。
こういう工夫、もっとたくさんの人に知ってほしいなと思いました。

京都の寺社では、靴を脱いで拝観する場所がいくつかあるので、
“マイ靴袋”を持参するのも、ひとつのアイデアかもしれません。


ちなみにこの階段、けっこう急なんです。

手すりや綱はあったものの、
足腰に不安がある方は、どうか無理せず慎重に。

私は「登ったのが今でよかった」って思いました。
あと数年後の自分だったら、ちょっと厳しかったかもしれません。


ここでもまた、雨に感謝することになりました。

観光客が少なくて、三門の廊下を独り占めできたんです。

四方に広がる絶景を、心ゆくまで堪能して──
名残惜しさを感じつつ、三門をあとにしました。

雨上がりの青もみじと、水路閣

境内を、足の向くままに歩いていたら
ふと、思い出の場所にたどり着きました。

——水路閣です。

“初夏の青もみじと水路閣”
この組み合わせが見られただけで、もう十分すぎるほどの幸運。
そんなふうに思えるほど、美しい景色でした。

何時間でも眺めていられそうな場所。
静かで、でも心がざわざわするような不思議な感覚。

上にも登って、水が流れる様子を間近で見てきました。
雨で少し増水していて、水の流れに動きがあって目にも楽しい。

ただ、足元はちょっと大変。
雨でぬかるんだ山土に、靴はしっかりずくずくになりました(笑)

でも、それも含めていい時間。
やっぱり、水路閣は心に残る場所でした。

最勝院 ——青もみじとひし形の参道に誘われて

水路に沿って、少し奥まで歩いてみると
人の気配がほとんどない静かな場所に出ました。

そこにあったのが——最勝院というお寺。
手入れの行き届いたお庭と、美しい青もみじに目を奪われました。

南禅寺のもみじよりも葉が小ぶりで、
ひとつひとつの形がそろっている印象。
私は、こちらのもみじの方が好みでした。

参道の中央には、ひし形に並べられた石。
歩いていて楽しくなるような、可愛らしい道でした。

少し奥まった場所にあるからか、
訪れる人は少なそう。でも、だからこそ落ち着く。

ここ、穴場スポットかもしれません。

いつもの旅なら「デメリット」と感じてしまう雨が、
今回は——まるで恵みの雨のようでした。

初夏の青もみじに包まれた南禅寺と水路閣を、
心ゆくまで楽しめたのは、
しっとりとした雨のおかげだったのかもしれません。

帰り道。
ちょうど近くの高校の下校時間だったようで、
蹴上駅までの道すがら、何人もの高校生とすれ違いました。

こんな歴史ある道が通学路だなんて……
観光で来ている私にとっては、なんとも贅沢な環境。

でも、彼らにとってはきっと——
なんてことない日常の風景なんでしょうね。

セレンディピティ——偶然がくれたごほうび

セレンディピティ。
予想外の偶然によって得られる幸運、
あるいは——それを引き寄せる力。

今回のひとり旅、初日はまさに
そんなセレンディピティの連続でした。

目にするもの、出会う風景、すれ違う出来事。
どれもが、自分の想像を超えてきて——
ただただ「素敵だな」と感じることばかり。

ふだんだったら気にも留めずに通りすぎるような出来事も、
「嬉しい偶然」として心に残る。

そんな感性が、自分の中に戻ってきているのだとしたら、
この旅は——自分への何よりのごほうびかもしれません。

あの時、勇気を出して
一歩、踏み出してよかった。

そう思える一日でした。

明日も、きっと。
いい日になりますように。

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