父は定年後、農業を専業にしていた。趣味の域を超え、品評会で評価を受けるほど熱心な取り組みだった。地域の人々もその腕を認めていた。
この夏、海外に住む孫が「おじいちゃんと一緒に農作業をしてみたい」と帰国を予定していた。数人いる孫の中で、初めて農作業に興味を持ってくれたことは、父にとってとても嬉しい出来事だったと思う。
そのためか、父には「その日までにやっておきたい農作業」があったようだ。酷暑の中、飲食も忘れて没頭していた姿があった。素人目ではあるが、それも倒れた要因のひとつではないかと家族は感じている。
そして8月上旬、孫が帰国。
続いて、予定になかった妹も、父と母を支えるために急きょ一時帰国してくれた。思いがけない形ではあるが、家族がそろい、父にとって心強い環境が整いつつあった。
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