海外に住む家族が帰国し、面会のため病院を訪れた。
父は車椅子に乗せられ、食堂兼デイルームで家族の話に耳を傾けていた。帰国した孫と農作業をするはずだったのに、未だに病院のベッドから動けない現状に、悔しさを感じている様子だった。
会話のキャッチボールはまだ難しいが、私たちの話はしっかりと理解しているようだった。辛抱強く聞き取る努力をすれば、何を言っているか理解できた。海外で看護師をしている妹は、父のような患者を何年も看護してきた経験があるため、相手をするのがうまかった。話を聞く際は耳を父の口元に近づけて聞き取り、動かない手をマッサージしながら話を聞いていた。知識があることの心強さを感じた。
入院している病棟は、日常生活動作能力の向上を目指したリハビリテーションを行ってくれている。医師を中心に、看護師、介護士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など専門のスタッフたちがチームでサポートしてくれている。 リハビリに前向きに取り組んでいるようで、リハビリを開始した当初よりも、ひとつひとつの動作がスタッフに支えられながらではあるが短時間で行えるようになっていた。寝た状態から起き上がる、ベッドから車椅子へ移動するなど、動作の向上が見られた。

父のひたむきな努力と、家族やスタッフの支えが、確かな回復につながっている。この調子で少しずつでも前進してくれることを願うばかりだ。
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